相続対策の一環として注目されている不動産小口化商品。ここではFP監修のもと、注目されている理由やスキーム、不動産小口化商品で相続対策を行うメリット、デメリットについてまとめています。
不動産小口化商品とは特定の不動産を一口数万円から100万円程度に分割して販売し、賃貸収入等の利益を出資金に応じて分配する仕組みの商品のことです。
例えば、好立地にある10億円のマンションを、1棟自分で取得しようとすると、資金調達や物件選び、管理の手間がネックとなることも…。しかし、不動産小口化商品は、プロが選んだ収益性の高い物件を小口化することで、手間なく少額から投資することが可能となります。
不動産小口化商品は、大きく「任意組合型」と「匿名組合型」の2種類があります。このうち、相続対策に有効なのは「任意組合型」。「任意組合型」の不動産小口化商品は、不動産を運用する事業者と投資家が組合契約を交わすもので、投資家は事業者から不動産の持分を購入する形になるので所有権があります。
そのため、相続時の土地評価額は公示価格の70~80%程度、建物は50%程度に評価されるのが一般的。評価額が下がればその分相続税も引き下げることになります。不動産小口化商品は実物不動産投資と同じように相続税対策としての効果が期待できるのです。
また、投資家に所有権があることで、減価償却費を経費として計上できるので、所得税の圧縮効果も期待できるでしょう。
現金で財産を相続する場合、基本的にはその金額に対してそのまま所得税等が加算されます。しかし、不動産小口化商品をはじめとする不動産は相続税評価方法により、評価額の圧縮が可能。相続税や贈与税をできる限り減額することができます。
特に都心や人気エリアの不動産だと、一棟やひと部屋買いでは数億円~数十億円程度の費用がかかるケースも珍しくありません。しかし、せっかく不動産投資を行うからには安定した収益が期待できる物件を選びたいもの。
不動産小口化商品なら資産価値が高い物件にも個人の貯蓄の範囲で無理なく投資することが可能。相続対策しながら安定的な収益も得られるでしょう。
実物不動産投資の場合、相続人が複数いても、誰か一人がまとめて受け継ぐしかありません。一方で、不動産小口化商品は少額から投資できるため、同一物件を複数口購入したり、複数の物件の商品を購入したりすることも可能。1口ごとに資産を分割できるので、遺産分割で揉める心配もありません。
不動産小口化商品はあくまでも不動産となるため、そのエリアの人気変動や老朽化などによって物件価格の値が下がる恐れも考えられます。小口ゆえに一般的な不動産投資よりもリスクが低いとは言われていますが、物件を取り扱っている事業者をしっかり見極め、信頼できるパートナーを見つけることが大切です。
不動産小口化商品は、一般的な実物不動産の利回りが5~10%なのに対し、2~7%程度と利回り相場が低めに設定されているのが特徴。これは投資額が低く、ローリスク・ローリターンな商品であるのも理由のひとつですが、物件の選定から管理まで事業者に頼れる反面、そのコスト(諸費用)が差し引かれることとなるためです。
不動産小口化商品には「任意組合型」と「匿名組合型」の2種類がありますが、相続対策を行うなら任意組合型の商品を選ぶ必要があります。
任意組合型の商品を扱う事業者の中には、税理士や司法書士、FPと提携して様々な視点から相談や手続きを任せられるところもあります。不動産小口化商品による相続対策に不安がある方は、そういった事業者に相談してみるとよいでしょう。
不動産小口化商品は現物の不動産と同様の評価方法となる点、遺産分割しやすい点などが相続において魅力だと分かりました。このサイトでは相続対策として有効な任意組合型の不動産小口化商品の中から、特徴別におすすめの商品を紹介しています。不動産小口化商品を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
薄井 美朗 氏
■略歴:昭和44年生まれ。大学卒業後、都市銀行にて8年勤務し、小規模企業から年商1000億円規模の上場企業を担当。その後20年、TAO税理士法人にて幅広い業種を担当し、身近な相談相手として活躍中。
FPとして不動産、税金、金融、保険など、法人・資産家向けの相談業務を遂行する傍ら、 不動産に関するコンサルティングや各種記事の監修を務めています。
■保有資格:税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者
※選定基準:国土交通省が出している「不動産特定共同事業者許可一覧」(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk5_000001_00014.html)の中で、第一号事業または第二号事業をもっていて、一都三県の物件を扱う業者のうち、任意組合型の不動産小口化商品を扱う会社の中から、下記の理由で選定。
・湘南ユーミーまちづくりコンソーシアム...安定性の高い住居系の物件を扱う中で、100万円からの少額投資に対応、かつ運用実績(分配率)を明記していてその最低利率が最も高い(実績:3.25%~4.29%)
・青山財産ネットワーク...唯一都心3区(千代田区・港区・中央区)すべての物件を扱う
・東急リバブル...グループを含む2023年度賃貸管理戸数が最も多い。
※1参照元:湘南ユーミーまちづくりコンソーシアム公式HP(https://www.you-me-machidukuri.co.jp/machishare/)
※2参照元:全国賃貸住宅新聞(https://www.zenchin.com/news/2023150.php)